フランス人も戸惑うフランス語とケベコワの違い5つ
出典:http://www.mrif.gouv.qc.ca/en/salle-de-presse/actualites/11479
カナダは英語とフランス語の2か国語が公用語の国。カナダの仏語圏ケベック州で話されるフランス語のことをケベコワ(Québécois)と呼びます。
フランスではもう使われていない古い表現が残っていたりするため、ケベコワとフランスのフランス語には違いがたくさんあります。
フランス語ネイティブの夫もフランス語を外国語として学んできた私も、その違いに戸惑うことがあります。そこで今日はフランスで話されるフランス語とケベコワの違いを5つにまとめました。
フランス語の知識があるとより面白いと思いますが、フランス語を全く知らない人でも楽しんで読んでいただけるよう、なるべく分かりやすく解説したつもりです。
発音や表現
ケベックの人にとってはフランスのフランス語は気取った感じ、逆にフランス人からするとケベコワは田舎臭く聞こえるそうです。
(正直なところ、私にもケベコワは田舎臭く聞こえます…)
悪気はなくても夫は時々笑いそうになってしまうこともあるんです。
でもケベックの人たちはその言葉や文化にとても誇りを持っているため、笑われると侮辱されているように感じるんだとか。夫、注意してくれ。
発音や表現の違いの例は上の動画を参考に載せました。英語・ケベコワ・フランス語の順で発音しています。(本人も言ってますがフランス風はあまり上手ではないので参考までに)
ケベコワは複数の単語をぎゅっとくっつけて発音したり、全く違う表現になることも。
ビデオの中で女性も言ってますが、’Je suis allé(e)’(私は行った)が、ケベコワだと全然違う発音になります。ウィキペディアによればJe suisはケベコワではChusとなるそうです!
ケベックの中でも出身地によってなまりの強さは違うんでしょうね。時々夫は理解できないこともあるそうです。
単語の意味
単語の意味にも違いがあります。
この動画の男性は英語ネイティブのカナダ人で、ケベックとフランスでフランス語を学びました。
フランスでケベコワを、ケベックでフランス語を話すと笑われたり訂正されることがあるそうです。私もイギリス英語とアメリカ英語で同じような経験をしたので彼の気持ちがよく分かります。
動画で紹介されている単語をいくつかあげます。
夫は友人にもらったBeau Gosseと書かれたネタTシャツを持っています。Buauは美しい、Gosseは子供という意味ですが、くっつけるとフランス語ではスラングで「イケメン」という意味になります。
(ネタTシャツですからね、本気で着てたらただのイタイ奴 ^^,)
でもこのGosseがケベコワだと下ネタワードに。ということでこのTシャツは部屋着専用となりました。
あと有名なのは朝ごはん・昼ごはん・夕ごはんの違い。
フランスでは順にPetit déjeuner 、Déjeuner 、Dînerですが、ケベックではDéjeuner 、Dîner、Souperとなります。これは混乱しますね。
また、ケベコワでBlondeは彼女や時には妻を意味します。
夫は実際ケベック出身の同僚からこの表現で私のことについて質問されたそうですが、最初何のことを言っているのか分からなかったそうです。
ちなみに私は黒髪です。
何でも訳す!?
この看板を見てください。何かおかしいと思いませんか?見覚えのあるカーネルおじさんですが、あれ?KFCじゃなくてPFK!?ブランドロゴが変わってますけど!
Kentucky Fried ChickenはケベックではPoulet Frit Kentuckyになるんです。ちなみに下はフランスのサイト。KFCのままですね。
出典:KFC France |
他に2つ例を出します。
フランス語で買い物をするはfair du shopping。日本語でもショッピングと言いますよね。でもケベックではmagasiner。ちなみにmagasinはお店という意味の名詞です。
週末はフランスでは英語と同じweek-endを使いますが、ケベックではfin de semaine。
Tutoyer
フランス語では「あなた」を意味する言葉がVousとTuの二つあります。Vousの方が丁寧でTuはフランクな表現。
フランス語学習のテキストなどではTuを君、Vousをあなたと訳していたりしますね。Tuを使って会話をすることをTutoyerと言います。
フランス語を外国語として学んでいる身からするとどちらを使うか判断に困るのですが、フランス人にとってもこの切り替えというのは気を遣うものだそうです。
でもケベコワではフランスでVousを使うようなシチュエーションでもTuが使われることが多いと感じます。
まだ日本にいるときに夫がケベックとスカイプで仕事の面接や打ち合わせをするとき、初対面でもTuだったと夫は驚いていました。上司にあたる人に初対面でTuを使うべきかどうかと一瞬迷ったと。
以前初対面のケベックの人とお店に入るのを譲り合うようなシチュエーションになったのですが、私が’Allez-y!’(どうぞ!)と言ったのに対して彼が言ったのは’Vas-y!’でした。
こういうところでもvousじゃなくてtuでいいんだと学んだ経験です。
※allezは動詞aller(行く)の、主語がvousの場合の活用、vasはtuの場合の活用
とはいえいきなりTuを使って失礼になったら嫌なので、どうしても安全なVousを使っちゃいますけどね。
お店に入ると’Bonjour!/Hi!’
これはケベック全体というよりモントリオール特有の挨拶らしいです。Bonjour. Hi.
モントリオールは英語とフランス語どちらも使われているバイリンガル都市。
お客さんに英語話者とフランス語話者がいるので、フランス語と英語であいさつをし、お客さんの返事によってどちらの言語で続けるか判断するみたいです。
どちらか一方しか話せない人にとってはありがたいのですが、ただこれが一単語のようにつながって聞こえるのですよ。
カフェでレジに近いところに座ったら「ボンジューグァイ」みたいな感じで永遠と聞こえてくるので、夫と二人でそれが頭から離れなかったことがありました。
おわりに
フランス語とケベコワの違いの一部を今日はご紹介しました。関東弁と関西弁、イギリス英語とアメリカ英語の違いと同じようなもの考えると分かりやすいのではないでしょうか。
もしケベックにフランス語学習目的で留学される方がいたら、こういう違いがあるということを把握しておくといいかもしれません。
名前のまんまのこんなサイトも見つけました。
Je parle Québécois – Apprendre français du Québec en vidéo
本日も最後まで読んでいただきありがとうございました♪
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