日仏離乳食比較:離乳食にはその国の食文化が反映される
娘は半分フランス人なので、日本式とフランス式両方の離乳食について調べてみました。
調べて分かった事と感じた事のまとめです。
フランスの「離乳食」の呼び方
フランス語で離乳食は「La diversification alimentaire」といいます。日本語に直訳すると「食の多様化」。
離乳食という言葉はネガティブというか必要に迫られた感がありますが、「食の多様化」ってなんだかポジティブに聞こえるのは私だけでしょうか。「様々な食材を食べてみて経験して、食事を楽しむ」というイメージを持てます。
私は呼び方やコンセプトとしてはフランス式のほうが好きかもしれません。
日本とフランスの離乳食の特徴
さて、日本式とフランス式の特徴をざっくりまとめるとこんな感じ。
日本式離乳食
・最初はおかゆから。
・昆布やカツオだしを重視。
・「主食・主菜・副菜」のスタイル
・ペースト状から、徐々にテクスチャを変えて固形にしていく
・1品にいろんな食材が入っている
・塩分にそれほどうるさくない(?)
フランス式離乳食
・米やとうもろこしなどの穀物からできた粉末(シリアル)をミルクに混ぜる。
・最初は野菜のピュレ、次はフルーツのコンポート。お米はもっと後になってから。
・離乳食の時点から、「前菜・メイン・デザート」のスタイル
・おやつ(goûter)は重要な一日の食習慣の一つ。
・乳製品(ヨーグルト・チーズ)を意識的に早いうちから食べさせる。
・月齢が上がっても、ペースト状の「ピュレ」を食べる。
解説
形状
日本はゴックン期、モグモグ期、カミカミ期、パクパク期と明確に食感に違いをつけてステップアップしていきますが、フランスは結構長いことペースト状のものを食べさせるとか。
フランスでは大人の食事にもポテトやニンジンや、いろんなピュレが添えられています。なので離乳食も形状を固くしていくことにはそれほどこだわらないのでしょう。
おやつ
私が買った日本の離乳食の本では、おやつは1歳~1歳半のパクパク期になるまで登場しないのですが、フランスのおやつにあたるgoûterはかなり初期から導入されているようです。
ちなみに、日本では「3時のおやつ」ですが、フランスではおやつは4時だそうです。夫もよく午後4時頃になると、「グテの時間」「グテの時間」と言ってます(笑)
一品に入れる材料の種類・数
あと、これは大人の食事についても感じることですが、日本食は総じて、一品に使う食材が多くて、一品の中でも栄養バランスが取れているように感じます。
だからなのか、日本の離乳食も一品一品いろんな食材を入れてすごく凝って作る印象。
(例:白身魚と野菜のおかゆとか)
一方でフランスも含め欧米の大人の食事を見てみると、私としては、「うーん、そこに○○を足したい!」と思ってしまうものが多いです。
*○○の中には野菜が入ることが多いです。
だからかフランスの離乳食は単食材のペーストが基本という感じです。例えばニンジンピュレやりんごのコンポートなどで、いろいろな食材を一つの中に混ぜていません。
これは、フランスの離乳食の考え方に、「食材そのものの味の違いを知り、楽しむ」というようなコンセプトがあるからかもしれないです。
感想
離乳食にはその国の食文化が反映されている
それは、離乳食はその国の食文化を受けて考えられているということ。
離乳食は大人と同じ食事ができるようになるまでの移行期間なので、それぞれの国や地域の食文化が赤ちゃんの食事にも反映するのは当然といえば当然です。
ですが私は今まで文化による離乳食の違いなんて考えたこともありませんでした。
妊娠期間中の胎児の成長が国や地域で変わらないように、生まれてきた赤ちゃんの成長に必要な食べ物も大差ないんじゃないかと思っていました。
でも違うんですね。
もちろん国や地域が変わっても、人間の赤ちゃんであることに変わりはないので成長に必要な栄養は大きくは違わないでしょう。
ただ離乳食は栄養素だけの問題ではなく、食=文化の域に入ってきますからね。住んでいるところによって違いが出て当然。
食文化による離乳食の違い
だからフランスでは8ヶ月頃~とされている米がご飯が主食の日本では最初の離乳食として与えられ、和食のだしを使って調理された離乳食で早くから和の味を覚えていく。
一方で、フランスでは大人の食事と同じように、離乳食の時から乳製品とデザートは欠かせません。(デザートといっても、フルーツのコンポートなど)
フランス人は食後に甘いものがないと食事が終わった気がしないそうですが、赤ちゃんの頃からデザートを食べる習慣を叩き込まれるのですね。
今でもあまり日本語ができない夫が覚えた数少ない日本語の一つが「別腹」なのも納得です。(笑)
それにしても、小さい赤ちゃんがフランスではすでに「前菜・メイン・デザート」形式で食事をするとは、とてもかわいらしいですよね。
何をいつから食べさせるのか
アメリカ等の離乳食もざっくり調べたのですが欧米の離乳食は塩について結構厳しいような印象を受けました。フランスでも、「Carnet de santé」(フランスの母子手帳)によれば、1歳になるまでは与えないことになっています。
一方で日本は7~8ヶ月(モグモグ期)からOKとあります。それにその前の5~6ヶ月(ゴックン期)からしらす干しを使いますよね。塩抜きはするものの完全に塩分がなくなるわけではないはずなので、日本はそれほど塩分に関してシビアではないのかもしれません。
いろいろな食材の食べさせて良いとされる時期もフランス式と日本式で違ったりします。
先ほど書いたお米もそうですが、他に日本では初期から食べさせてよいとされるオレンジ、イチゴ、ブロッコリー、キャベツは、フランスでは順に8、9-10、7-8、15-18ヶ月からとされています。
キャベツは日本のゴックン期(初期)のレシピによく登場する野菜ですがフランスでは1歳をすぎてからなんてびっくり!
キャベツなどのアブラナ科の野菜は、ガスを発生させるためお腹に優しくないので後期まで避けるようにとフランス等では言われているようです。
おわりに:娘の離乳食をどうするか
何かあって病院に行かなければいけなくなったときのことを考えると基本は今住んでいる日本のやり方でやっていったほうがよさそうです。あまりにも日本のスタンダードと違うことをしてしまうと、ドクターが指導・治療しにくいかもしれないし。
でも慣れてきたら差し支えのない範囲でフランス流も取り入れていきたいです。幸い野菜や果物が豊富な夏に離乳食を始められるので、「食の多様化」精神で、娘にはいろんな味を楽しんでもらいたいな。
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